これも忖度?

京都に宿替えして昨日10月29日でちょうど丸1年。去年の今日は引越しの後片付けで大忙しでした。何とも時の流れの早いこと。

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話は変わって、その前住の地、東京都台東区は上野公園にある東京国立博物館。そこに「法隆寺宝物館」が併設されており、宝物が常設展示されてます。そのホームページに書かれてる説明文がこれ。

『明治11年(1878)に奈良・法隆寺から皇室に献納され、戦後国に移管された宝物300件あまりを収蔵・展示しています。これらの文化財は、正倉院宝物と双璧をなす古代美術のコレクションとして高い評価を受けていますが、正倉院宝物が8世紀の作品が中心であるのに対して、それよりも一時代古い7世紀の宝物が数多く含まれていることが大きな特色です。』

「凄いだろ!」って自慢げな文章ですが、それは良いとして「法隆寺はなぜ所有していた宝物を明治11年に皇室に献納したのか?」って背景は分かりません。

何故なんでしょう?はい、これも忖度!?

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宝物を献納した明治11年(1878)から遡ること10年前、慶応4年(1868)に明治新政府が発布したのがかの「神仏分離令」です。

王政復古、祭政一致の思想に基づいて「神と仏を区別せよ」という内容。国家神道を目指した明治政府としては、神道と仏教が混じった状態など許せなかったんでしょう。その辺りの経緯についてはこんな過去記事をご参照のほど。

この法令はあくまでも「仏教的なものは寺院に、神道的なものは神社に」という単純なものだったようですが、さてここで日本人らしく忖度が働きます。

国が目指すのは国家神道。そんな明治政府のお偉いさんに対して良いところを見せようと、地方官吏たちが忖度して起こした運動が「廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)」です。

廃仏毀釈とは、文字通り「仏法を排斥し釈迦の教えを棄却」すること。政府が打ち出した「神仏分離」を過大解釈して「仏教?そんなの要らねえ!」って。

それが先鋭化して寺院の破壊行為に。実際に全国の多くの寺院・仏像・経文などが破壊・焼却などによって失われたそうです。

とくに西郷隆盛さんの薩摩藩。明治政府の中枢を成した訳ですが、廃仏毀釈運動でもここがトップランナー。現鹿児島県ですが、全ての寺院が壊されたそうです。

その仏罰が桜島の噴火?ってなことはないか。

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閑話休題。もうお分かりでしょうが、法隆寺が宝物を皇室に献納した理由。それは「壊されるぐらいなら献納しちゃえ」と。

言い換えれば「何があっても宝物を守るんだ」という苦渋の決断だったのかもしれません。さすがに明治政府でも皇室に献上されたものまで壊さないだろうと。

ある意味、追い詰められた究極の選択。木っ端役人の忖度などという馬鹿げた行動が無ければ無用だった決断。いつの世も・・・。

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ってな話をしたかったんでは無く、京都に宿替えした後にこの話を聞いて「折角台東区在住だったんだから見とけば良かった」と思ったってだけの話です。はい。

ということで、昨日の京都の風景を数枚。

秋空にはためく日ノ丸。でも我がデジカメのせいではなく見事にオレンジ色に色褪せて。ザ・リッツカールトンさま、交換された方が。
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京都市のイベント会場「みやこめっせ」の前も既に紅葉が。
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近くの岡崎公園では「蚤の市」。なぜか京都のはお洒落。
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ところで、この立派な建物、何だと思います?
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「京都市立錦林浴場」。京都市営の銭湯です。財政難?う~ん。
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紅葉は逆光で撮るのが良いと聞いたけど今一つ。哲学の道。
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鴨川にもススキが。秋ですねえ!
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